泌尿器科医・木村明の日記

木村顔

腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。

SIU2024Plenary 01


オンデマンド配信されている2024年のSIU

メニューの2番目の科学プログラムの13個の動画のうち、2番目のPlenary 01を視聴。

Plenary 01を視聴。

Plenaryとは、他の会場では何もやってない時間帯に、

泌尿器科学の発展に貢献した、著名な医師(レジェンド)の講演を

学会参加者全員が聞く講演会。

一人目のレジェンドはドイツ人(20分)。

回腸新膀胱(INB:ileal neobladder)はaging(老化)するか。

答えはNo。

何年たっても自排尿できている人がほとんどだった。

膀胱全摘した中で、回腸新膀胱で尿路変更した割合を問われると、

当院はドイツ全土、ヨーロッパから新膀胱造設希望者が紹介されるので、

75%ぐらい、とのことでした。

結論がシンプルだったことに関し、アインシュタインの、

「人にシンプルに説明できないのは、十分に理解していないからだ」

"If you can't explain it simply, you don't understand it well enough." (Albert Einstein)

という言葉を引用していたのが、面白かった。

二人目はインド人。

医療訴訟に備える。

インドの法律家たちは医療知識がない。

治療が正しかったかの、判断材料は教科書に書いてあるか。

塞栓術を何度もトライしてもダメな時には腎摘しかないが、

腎臓の手術の後の出血が止まらないときに、腎摘が選択肢とは

Campbell's Urologyには書いてないので、訴訟で負ける。

三人目はアフリカの女医で尿道狭窄について。

4人目はインド人で結石治療。

対外衝撃波による治療は減少傾向で、

しばらくはPNL、mini-PNLが流行ったが、

今は軟性鏡によるTULが増加中。

1回の手術でstone freeにできることが、治療法として必須だから。

5人目はアメリカ人。

新規ホルモン薬(ARSI)を用いたneoadjuvant(前立腺全摘前に投薬)。

まだ生存率向上のデータは出ていないので、

ガイドラインでも推奨はされていない。

6人目はイギリス人。

ロボット腎部分切除。

腹腔鏡より画像が拡大されるので、腎盂が確実に縫合でき、

尿漏れの率は顕著に改善。

2025年10月12日