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和文論文42.上谷恭一郎,木村明:結石破砕装置.共済だより,224,19,1992.



 体外衝撃波腎結石砕石装置は,1980年ドイツで発明されました.それまでは手術でしか取り除けなかった結石を衝撃波で砕いて砂にしてしまい,尿といっしょに流してしまうものです.結石を砕くためのエネルギー源を,尿道から挿入し石に接触させて砕く方法なら,凡人でも思いつきますが,体の外で発生させたエネルギーを体をす通りさせて結石だけに集中させる夢のような装置でした.

原理は?

 戦時中,ドイツの戦闘機のメーカーが,潜水艦はこわさずに中にいる人間だけを殺す超音波の研究をしていました.その技術が,戦後医学のために利用されたわけです.図1のように,水中で発生した衝撃波(超音波)は球面の焦点に向かってすすみます.人間の体も水でできているようなものですから,音速は水中も体内も同じなので,衝撃波は体をす通りして結石に作用するわけです.

実際の治療は?

 図2が青山病院にある砕石装置です.患者さんはベッドにうつ伏せになり,背中に衝撃波発生装置を密着させます.この装置は,結石が焦点にあるかどうかを超音波で常に確認しながら衝撃波を発射するように改良されたタイプのものです.麻酔は原則不必要なので,治療後すぐ歩けますし,食事も取れます.粉々になった石が尿に混ざって数日中に出てきます.入院も4ー5日(大きな石の場合はもっと)ですみます.

すべての石に万能か?

 人間にできる結石には,尿の流れ道にできる尿路結石(腎結石,尿管結石,膀胱結石)と,肝臓で作られた胆汁の流れ道の胆嚢,胆管にできる胆石とがあります.二つの成分はまったく異なります.衝撃波による砕石が有効なのは今のところ尿路結石だけです.
 尿路結石のなかでも,この装置が得意なのは,腎臓と尿管の上半分にある2cm程度までの石です(図3).尿管下部の石や大きな腎結石の場合は内視鏡手術を併用することがあります.

治療を受けるには?

 青山病院泌尿器科(月ー土 11時まで受付)を受診してください.治療に必要なレントゲン検査(腎盂撮影)を行ったうえで,治療日(入院日)を予約します.他の病院ですでにレントゲン検査を受けた方はそのフィルムを借りてきていただけると検査を繰り返す必要がありません.
 激痛のために緊急入院した人の場合は,予約枠外で臨時に治療を行うこともあります.