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木村明

前立腺肥大症と前立腺がんについて知りたい。


前立腺は膀胱の直下にあり尿道を取り囲んでいます。
加齢とともに前立腺(特に尿道に近い内腺部分)が腫れて尿道をしめつけ尿が出にくくなるのが前立腺肥大症です。
前立腺は精液を作る臓器です。
年をとって精液を作る必要がなくなれば縮むのが普通で、実際7割の人では年とともに前立腺は縮みます。
しかし残り3割の人では加齢とともに前立腺が大きくなります。
ホルモン環境が変わるため、という説もありますが、原因ははっきりしていません。
尿を絞りだそうと膀胱が頑張る(膀胱が頑張り過ぎる状態を「過活動膀胱」と言います)ので頻尿になります。
進行すると膀胱にたまった尿をすべて出し切れなくなって残尿が生じ、ますます頻尿となります。
相談の方は頻尿があっても支障はない、とのことです。
頻尿の原因が過活動膀胱の段階なら、困ってから治療でも良いのですが、大量の残尿が頻尿の原因のこともあります。
残尿は腎臓にも悪影響を与えますので、診察は受けたほうが良いでしょう。
診断に必要な検査は超音波検査と尿流測定だけで、痛い検査はありません。
まず、下腹部に超音波をあてて前立腺の大きさを測り、機械に向かって小便してもらって尿の勢いを測り、 もう一度下腹部に超音波をあてて膀胱が空っぽになったか調べます。
前立腺がんは尿道から遠い外腺に出来るため、初期には症状は出ません。
でも前立腺肥大症に前立腺がんが合併することも多く、 尿の出にくさや頻尿で泌尿器科を受診した人に前立腺がんが見つかることもあります。
前立腺がんは血液検査でPSAという腫瘍マーカーを調べるだけでチェックできます。
人間ドックや住民健診のオプションとして受けることもできます。
天皇陛下の前立腺癌がPSAで見つかったため、有名になりました。
PSA検診が前立腺癌の死亡率を減らすことは確かですが、 一方で治療不要なおとなしい前立腺がんも見つけてしまう、という問題点もあり、 今は希望者だけに行うようになってきています。



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