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鉄門だより, Medical Delivery(医の社会への還元)


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医の社会への還元のあり方を考える企画「Medical Delivery」。
二回目はホームページを開設し、医学知識を一般の方に分かりやすく伝えていらっしゃる先生方を取材し、人気サイト制作のコツを伺った。
頭痛に関する知見を分かりやすく解説する頭痛大学を開設された間中信也先生(昭40卒)、
前立腺がん前立腺炎でヒットするサイトを頼りに開業していらっしゃる木村明先生(昭53卒)、に登場して頂いた。

間中先生にお話を伺った。
(参照URL http://homepage2.nifty.com/uoh/

(省略)


木村先生にお話を伺った。
(参照URL https://www.akira-kimura.com/

―HPを開設されたきっかけは何だったのですか。
前立腺超音波画像をパソコンで処理して前立腺癌の診断効率を高める研究で医学博士号を取得したこともあり、元々パソコンは得意でした。97年に、インターネットをしようとプロバイダーに加入した所、HPも無料で開設できるとのことだったので、チャレンジ精神で前立腺癌の超音波診断に関するホームページを開設いたしました。当時は検索サイトのヤフーにまだ権威がない時代でしたから、広告料は必要なく無料で登録でき、ヒット数を上げるのに有利な環境でした。

―開設後、HPをどのように発展していったのですか。
差し障りのない範囲でより親しみを持てるように試行錯誤を繰り返しました。付設した掲示板で相談室を開設し、訪問者からの質問に答えるうちに人気が出ました。当初は前立腺癌の知識を患者さんに知ってもらうためのサイトだったのですが、若者からの前立腺炎に関する質問が多かったです。携帯サイトも開設し気軽に相談できるようにしました。このページを見た多くの人が遠方から私の診察を希望して私の勤務先にいらっしゃいました。
しかし、わざわざ私のホームページを見ていらした方に充分な時間を割くことができませんでした。ホームページを見て沢山の患者さんが来て下さるのは私の特技と言えるのではないか、そしてそれを生かすには、外来専門医になったほうがよいのではないかと思い至り05年4月にHPを頼りに開業しました。患者を集める目的で作ったサイトではなかったのですが、開業する際、私の貴重な財産となりました。

―HPの反響はどうですか。
現在、1日約三百件のアクセスがあります。昨年開業したクリニックのページも並立させており、こちらも百件あります。問い合わせは全国からあります。遠路からはるばる患者さんが受診したいと希望されることもありますが、事前にできる処置をご説明し判断してもらっています。開業して1年経ち、以前よりは落ち着いてきました。

―ヒット数を増やすコツはありますか。
開設当初開設していた掲示板には、幸運にも患者さんからの質問が多数寄せられました。検索サイトで引っかかりやすくするため、掲示板での蓄積をもとに患者さんの言葉でホームページを構成するよう心がけています。

―掲示板は現在閉鎖されていますが、何か理由があったのでしょうか。
かつての家庭医学書で得ていた情報は、ネット上で検索して得るようになり、個人が独断で情報を流すことに怖さを感じ始めました。一般的とは思えない治療法を紹介するページを見かけることがあり、自分のページをはっきりと差別化することが難しかったことも要因の一つです。また、病院で診察を受けるかわりにインターネットでの相談で済ませようという人が増えてきたこともあり、01年3月に閉鎖しました。

―患者さんが正しい内容を判断するのは難しい時代と思いますが、どうお考えでしょう。
前立腺炎の手術療法など、一般的ではない治療を流布するサイトも存在します。しかし、他の先生方に不快な思いをさせたくないとの配慮から、他サイトの批判は書けません。患者さんが自らの判断で選ぶしかないというのが実情でしょう。データが揃い学会で発表してもらうのを待つ他ないといった所です。

―東大病院主導の電子ライブラリー構想が発表されましたが、提言があればお聞かせ下さい。
全てを一度に更新することは難しく、全体像が出来上がった頃には既に古い情報となってしまう危険性があります。またある医者が思い込みで書いた文章を修正する仕組みを構築することも必要でしょう。かつて東京共済病院でHPの管理をしていた時も、足並みを揃えるのに苦労しました。
いろんなレベルの読者を対象とする必要もあります。例えばPSAに関しては関心が高いこともあり、難しい英語論文訳を掲載しても反響がありました。どのようなHPになるのか楽しみです。

木村明先生 御略歴
1978年 3月 東京大学医学部医学科卒業
1984年 7月 東京大学医学部泌尿器科学教室助手
1989年 4月 東芝中央病院泌尿器科医長
1990年 7月 東京都職員共済組合青山病院泌尿器科医長
1994年 6月 東大病院分院泌尿器科講師病棟医長
1996年 7月 東京共済病院泌尿器科部長
2005年 4月 木村泌尿器皮膚科院長