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木村明:帯状疱疹.かいごの学校10月号,52-53,2005.



[抵抗力が落ちると発症]
 帯状疱疹は、子供のころにかかった水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、神経の中に潜んでいて、疲れや風邪、加齢などで抵抗力が落ちた時に、再活動を始め、神経を伝わって皮膚に現れます。帯状疱疹の多くが痛みを伴うのは、ウイルスが神経を伝わって現れてくるためです。
[皮膚症状や神経痛]
 帯状疱疹は、頭、顔面、胸、背中、おしり、下肢などに多く発症します。最初の症状は、ほとんどが痛み。身体の左右どちらか片方にチクチクした痛みが起こり、しばらくするとその部分が赤くなり、やがて水ぶくれになっていきます。それが濁って黄色くなっり、7~10日ほどで、黒褐色のかさぶたになります。発症後、3~4週間で皮膚症状も神経痛も自然に治ります。

[後遺症を残さないために、早期治療を]
 数週間で自然に治るのは、原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体ができるためです。しかし、水痘・帯状疱疹ウイルスは、体内で活性化して増殖し始めたときから、神経を破壊していきます。そして破壊された神経は修復されません。したがって、自然に治るのを待っていては、後に神経痛の後遺症が残る可能性が高くなります。神経の破壊を少なくするためには、できるだけ早く治療を開始することが大切です。一般には、皮膚症状が現れてから5日目ぐらいまでに、抗ウイルス薬による治療を始めれば、後遺症は残りにくいと考えられています。
 時に神経痛などの痛みが残ることがあり、長い人では数年にも及びます。特に発症年齢が高かったり、皮疹がひどくなった人、治療までに時間のかかった人などは、痛みが残りやすいようです。