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木村明:前立腺肥大症で治療中。ペニス・睾丸に不快感があるが...
すこやかファミリー7月号,30-31,2005.



Q.60歳の男性。5年ほど前から前立腺肥大症の薬物治療中だが、一昨年秋ごろから、 ペニス・睾丸のあたりにくすぐったいような、重苦しいような感じで、椅子に座 りつづけることに苦痛を感じているが、このまま薬での治療でよいか? 一番の 苦痛が椅子に座りつづけることができないことで、改善を希望しているが……。


A.「前立腺肥大症」は、肥大した前立腺が尿道を圧迫して、排尿 困難・頻尿・残尿感などの症状を起こす病気です。一方, 頻尿 ・残尿感に加えて, 会陰部や陰嚢部などの鈍痛や不快感・射精 前後の痛みを生じる病気に、「慢性前立腺炎」があります。前 立腺の炎症が慢性的に続いている状態で,全男性の25~50%が 一生に一度は前立腺炎症状を経験するといわれています。細菌 性のものと、非細菌性のものがあります。治療法 は、まずな るべく大量の水分を摂取するように勉めてもらいます.これは 前立腺の病変部を洗い流す効果があります.また,便秘が前立 腺炎症状を悪化させるので,整腸に留意することも大切です. 前立腺のマッサージで、分泌腺内にたまっている膿性分泌物を 排出させます。射精にも同じ効果があり,週1~2回行うように 勧めている医師もいます.細菌性のものでは,抗菌剤を内服し てもらいます.非細菌性の場合には、セルニルトンという花粉 から作った薬を投薬します.
 患者さんは、前立腺の大きさが18ml(ほぼ正常大です)と言 われていること,手術を勧められていないこと、抗菌剤の一種 であるシプロキサン・バナンや前立腺痛に使うセルニルトンを 処方されていることから、主治医も「前立腺肥大症」だけでな く、「前立腺炎」も合併している、と考えて治療しているのだ と思います。前立腺肥大症は手術で治すことができますが、前 立腺炎は手術を含め尿道からの操作をすると悪化することがあ るので,飲み薬を根気良く続けるのが、治療の基本です.