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木村明:精巣上体炎.標準治療2002/2003,p1052-1053,
日本医療企画,東京,2002.

(病名)精巣上体炎

(病気の概説)

 尿道の奥にある前立腺に感染して起こる病気が前立腺炎ですが、 さらに細菌が精管を上って、精巣上体(副睾丸とも言います)にまで感染し、精巣上体炎(副睾丸炎)を起こすことがあります。精巣上体炎は,病院で尿道カテーテルを留置している時や経尿道的な検査や手術を行った後によく続発しますが、性的活動性が高い青年期には,クラミジアや淋菌による尿道炎に続発することもあります。

(症状)

 発熱を伴って急激に発症します。陰嚢内容が腫れて、痛みを伴います。ちょっと触っただけでも、飛び上がるほど痛むことがほとんどです。

(診断)

 精巣の裏側の 精巣上体が腫れて、触診で圧痛を生じます。精巣腫瘍が精巣自体が腫れること、圧痛を伴わないことなどより、鑑別は難しくありません。

(治療・予後)

 発熱を伴うため安静とし、局所を冷湿布します。消炎鎮痛薬投与などの一般的治療に加え,原因微生物に対する抗菌薬を投与します。
処方例 下記のいずれかを用います。
1)クラビット(100mg) 3錠 分3
2)セフスパン(100mg) 2カプセル 分2
3)クラミジアの場合
ミノマイシン(100mg) 2カプセル 分2
 投与期間は精巣上体の腫れと圧痛の消失を目標に2‐4週間継続します。

(特別なコメント)

 両側の精巣上体炎を起こすと、精子の通路がつまってしまい、不妊症になります。精巣上体と精管とのバイパス手術が必要です。


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