じんま疹(蕁麻疹)

蚊に刺されたときのように、赤く腫れてとてもかゆくなり、通常数時間以内に跡形無く消えてしまいます。

じんま疹は何故起こる

表皮の下の真皮には、外敵の侵入を知らせる役目をしている肥満細胞がいて、その肥満細胞の中にはヒスタミンという物質が詰まっています。
この細胞が外敵侵入と判断したとき、ヒスタミンが分泌されて、じんま疹が起こります。
ヒスタミン分泌の引き金には、虫刺され、食物などによるⅠ型アレルギーがありますが、原因が特定できない場合のほうが多い病気です。

膨らみは何故起こる

皮膚の真皮の浅いところの血管にヒスタミンが作用すると、血管内から血漿が漏出して、そこに溜まって膨らみができます。
そしてヒスタミンの効力が切れると、漏出していた血漿は速やかに血管内に戻り、数時間以内に跡形無く消えてしまいます。
なので、診察にいらしたときには、何も異常を認めないこともあります。

かゆみは何故起こる

かゆみを医学的に説明すると「掻きたいという衝動を引き起こす感覚」です。
皮膚の表面にみられる特有の感覚で、虫などの侵入を知らせるためのものです。
蚊やダニが血を吸おうとしているとき、その部位を無意識に掻くと、外敵を退治できますから、生体防衛反応のひとつなわけです。

治療は抗ヒスタミン薬内服

ヒスタミンの働きを抑える薬、抗ヒスタミン薬を内服します。
じんま疹は真皮で起こっている病気なので、外用薬では治療できません。

皮膚炎との違い

皮膚炎(かぶれやアトピー)では皮膚表面から侵入した抗原を迎え撃つため、リンパ球が表皮内に入っていき、表皮細胞間に浮腫みが起こります。これが丘疹(ぶつぶつ)で、浮腫みが強くなれば水疱になります。皮膚炎では表皮の構造が破壊されますので、数時間で跡形もなく消えてしまうことはありません。
皮膚炎の治療はステロイド外用が中心となりますが、これは皮膚炎が表皮で起こっている病気だからです。ステロイド外用薬は、表皮内に入ってきたリンパ球の働きを沈静化します。

アレルギーについての専門的説明:I型アレルギーとIV型アレルギー
アレルギーとは、生体にとって不利益な免疫反応のことを言い、
抗原(蕎麦・花粉など)がIgE抗体を介して肥満細胞に結合し、ヒスタミンが分泌されて起こるのが、Ⅰ型アレルギーです。
抗原がリンパ球を刺激して起こるものはⅣ型アレルギーと呼ばれます。花粉症はⅠ型アレルギー、皮膚炎(かぶれやアトピー) はIV型アレルギーです。
以前はI型アレルギー反応が蕁麻疹の主なメカニズムであると思われていましたが、近年はIgEを介したI型アレルギーが原因となる蕁麻疹は、実際にはそれほど多くないと考えられています。

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