皮膚科を標榜していた当時の皮膚科疾患のページ

木村顔

木村泌尿器皮膚科は2013年から男性皮膚科に。蕁麻疹は専門外です。

蕁麻疹(ジンマシン)


蕁麻疹(ジンマシン)

症状


蚊に刺されたときのように、赤く腫れてとてもかゆくなります。通常数時間以内に跡形無く消えてしまったり、場所が移動したりします。1日以上同じ部位に持続して出現することはありません。

原因


真皮には、肥満細胞(マスト細胞)というのがあり、この細胞の中には『ヒスタミン』という蕁麻疹のもとになる化学物質が詰まっています。蕁麻疹は、この 肥満細胞が何らかの刺激を受けて、ヒスタミンが漏れ出す事により発生します。

「蕁麻疹といえばアレルギー」と思い込んでいらっしゃる人も多いようですが、原因が特定できない「特発性蕁麻疹」が医療機関を受診する蕁麻疹全体の8割程度を占めます。「特発性蕁麻疹」は一度発症すると基本的にはその後、毎日のように出現します。

特定の食べ物、薬物、昆虫の毒素などにより、IgE抗体を介して肥満細胞からヒスタミンが放出されて起こる、「アレルギー性蕁麻疹」は実際にはあまり多くなく、蕁麻疹全体の数%を占める程度です。原因物質への曝露がない限りは症状が出ることはありません。

IgE抗体によって起こる反応はⅠ型アレルギーと呼ばれます(後述のコラム2参照)。原因物質の摂取・接触の数分後から30分以内に発症するため、患者さん自身が原因を推測できます。

治療


治療は、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服が必要です。

抗アレルギー剤

第2世代の抗ヒスタミン薬とも呼ばれる(眠気が少ない)

一般名
商品名
エピナスチン
アレジオン錠
エバスチン
エバステル錠
セチリジン
ジルテック錠
ロラタジン
クラリチン錠
オロパタジン
アレロック錠
ベポタスチン
タリオン錠
エメダスチン
レミカットカプセル
ダレンカプセル
フェキソフェナジン
アレグラ錠
オキサトミド
セルテクト錠
アゼラスチン
アゼプチン錠
ケトチフェン
ザジテン



抗ヒスタミン剤

第1世代の抗ヒスタミン薬とも呼ばれる(即効性あり、眠気が強い)

一般名
商品名
メキタジン
ゼスラン錠
ニポラジン錠
クレマスチン
タベジール
クロルフェニラミン
ポララミン錠


コラム1
蕁麻疹・花粉症の悪役は実は国境警備隊
真皮にいる肥満細胞がヒスタミンを出したときに起こる症状が蕁麻疹ですが、 鼻腔や結膜にいる肥満細胞が、花粉の刺激でヒスタミンを出したときに起こる症状が花粉症です。
上の表に載せた薬は、花粉症の治療にも用いられます。 肥満細胞が出すヒスタミンの働きを抑えることが、蕁麻疹・花粉症の症状を和らげるわけです。
では何のために肥満細胞は存在するのでしょうか? 肥満細胞は、体を外的から守る白血球の一種です。
体を一国に例えるなら、肥満細胞は、国境を警備している監視員のようなもので、敵が侵入したのをサイレンを鳴らして軍隊全員に知らせているのです。
真皮の肥満細胞がヒスタミンを分泌するとかゆくなって、掻きたくなりますが、掻くことにより、吸血している蚊や、侵入しようとしている寄生虫を追い払うことができるのです。
鼻腔の肥満細胞がヒスタミンを分泌すると鼻水、くしゃみが出て、侵入しようとするウイルスや細菌を追い出すことができます。
結膜の肥満細胞がヒスタミンを分泌すると涙が出て、侵入しようとするウイルスや細菌を洗い出すことができます。
問題なのは、正義の味方・肥満細胞が、花粉を敵だと誤解していることなのです。


コラム2
蕁麻疹診断におけるIgE抗体検査について
肥満細胞にIgE抗体と抗原が結合して、ヒスタミンが放出されるのが、I型アレルギー反応です。
以前はI型アレルギー反応が蕁麻疹の主なメカニズムであると思われていましたが、近年はIgEを介したI型アレルギーが原因となる蕁麻疹は、実際にはそれほど多くないと考えられています。
I型アレルギーが疑われる場合には、いくつかの比較的安全な検査方法があります。1つは、血液検査で血清中の各抗原に対する特異的IgEという抗体の量を測定するというものです。
ただ、その結果の解釈は単純ではなく、食物が原因と思われる場合などで有用な場合もありますが、値が高いからと言って必ずしもそれが原因であると断定することはできず、あくまでも参考になると考えたほうがいいと思います。
さらには、抗原の数が無数にあるのに、1回に検査できる項目は13個までですので、原因物資の候補がある程度絞り込めてから受けることをお勧めします。
13個までなら、自分の選んだ物質のIgE抗体を調べてもらうことができます。
MAST-33というセット検査では、33項目を同時に調べてもらえますが、調べる項目は決まっていて、
コナヒョウヒダニ、ハウスダスト1、ネコ皮屑、イヌ皮屑、オオアワガエリ、ハルガヤ、カモガヤ、ブタクサ混合物1、ヨモギ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、ペニシリウム、クラドスポリウム、カンジダ、アルテルナリア、アスペルギルス、ラテックス、ソバ、小麦、ピーナッツ、大豆、米、マグロ、サケ、エビ、カニ、チェダーチーズ、ミルク、牛肉、鶏肉、卵白
です。いろいろな物質のIgE抗体を調べても陰性の場合も多く、また逆にある物質のIgE抗体の数値が高くても、因果関係がはっきりしない場合も多々あります。