慢性前立腺炎(慢性骨盤疼痛症候群)の治療成績

木村 明


【目的】慢性前立腺炎の治療成績を集計した。
【方法】2005年4月から2006年9月までに、会陰部不快感等で来院し前立腺分泌液検査を行った患者は213例であった。 133人はすでに他院での治療経験があった。前立腺分泌液中の白血球と細菌培養の結果より、 細菌性前立腺炎・非細菌性前立腺炎・前立腺痛に分類した。治療の終点が明確でない疾患のため、 症状が改善し投薬が不要になった群を治癒、症状が改善し集計段階でも投薬を継続している群を継続 、改善したが患者が勝手に通院しなくなった群を中断、改善の見られない群を無効とした。
【結果】細菌性前立腺炎が13例、非細菌性前立腺炎が60例、前立腺痛が140例であった。 細菌性前立腺炎には12例に抗菌剤を投与し6例が治癒した。 非細菌性前立腺炎には58例に抗菌剤もしくはセルニルトン・漢方薬・抗コリン剤もしくは併用で治療し、 22例が治癒、9例が継続、21例が中断、6例が無効であった。 前立腺痛には127例にセルニルトン・漢方薬・抗コリン剤・αブロッカーなどの処方と前立腺液圧出法で治療した。 34例が治癒、11例が継続、38例が中断、44例が無効(1度も再診しなかった10例を含む)であった。
【結論】中断群を軽快した症例とみなせば、満足できる成績であるが、 今回の患者の半数以上が他院での治療を経験していることを考えれば、当院での治療に失望し転院したとみなすべきかもしれない。