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日泌総会90回



PSA10以上で1回目の針生検陰性例のその後

東京共済
木村明,今荘智恵子




背景
前立腺針生検の精度を検証する目的で、再生検の成績が集計されることが多いが、 1回目の針生検が陰性だった症例を、再生検に至らなかった症例も含めて、追跡した報告は少ない。

対象及び方法
1996年7月から1999年6月までに、PSA10以上で針生検を行った症例61例のうち1回目の針生検が陰性であった症例36例につき、その後の経過を調査した。

結果
1.すぐに肥大症の手術をした例が2例、生検後、当科にもドックにも来ていない例が5例あった。
2.残り29例中、PSAがさらに上昇した例は13例、PSAが下降した例が16例であった。
3.PSAが上昇した症例13例のうち、再生検を受けたのは7例、このうち4例に癌が発見された。
4.PSAが上昇した症例13例のうち、再生検を受けた7例と、受けなかった6例には背景因子に差がなかった。
5.これらの6症例のうち83歳の1例を除いた5例は、ドックからの再依頼がなされていなかった。

考察
再生検を受けていない症例の中に、再生検を受けるべき症例が再生検を受けた症例数とほぼ同数いることがわかった。
ドックの面接医は過去のデータも手元に説明を行っており、再度の精密検査の必要性は健診受診者に説明している。
一回目の生検での苦痛の記憶が、受診者が再生検を拒む原因のひとつと思われる。