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原稿


マイク付き採尿コップによる平均尿流率測定の試み


     東京共済病院泌尿器科
     木村明、吉田雅彦、斉藤功


[目的]前立腺肥大症の診断や治療効果判定・経過観察において尿流測定は重要な意味を占めている。特に前立腺の縮小を目的としない内服薬投与や高温度療法後の経過観察においては、超音波等の画像診断はあまり意味がなく、尿流率の改善が唯一の客観指標となる。尿流率は排尿量に依存するので、外来での1回限りの検査より、複数回行える方が好ましい。そこで、患者が自宅でもできる尿流率の測定法を提案する。
[方法]目盛りの付いた採尿コップの底の裏に録音マイクを張り付け、排尿中の音をテープレコーダーで録音する。排尿後テープを再生して、排尿の始まりから終了までの時間を計り、尿量を排尿時間で割れば平均尿流率が求まる。
[結果]まず、演者自身がこのコップに時計を見ながら排尿し、排尿量、目測排尿時間を計測した。200回の排尿を録音した。テープレコーダの再生は後で数日分をまとめて行い、排尿開始音から終了音までの録音時間を計測した。目測時間と録音時間及び、各々を基にした平均尿流率の誤差を検討した。200回の排尿のうち、9回は排尿量もしくは時間を見忘れ、7回はテープレコーダのスイッチの入れ忘れたため評価できず、残り184回の排尿での排尿時間の誤差は平均8.6%、平均尿流率の誤差は平均9.6%に過ぎなかった。
 次に、前立腺肥大症3症例につき、入院中に術前・術後、うち1症例では退院後自宅でも、この装置による平均尿流率を数回求め、尿流計のデータと比較した。尿流計で改善のみられた2症例は、この装置でも改善と判定でき、尿流計で改善のみられなかった1症例は、この装置でも不変と判定された。

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