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質問と回答
目的:年齢が、夜間排尿回数、夜間尿量に及ばす影響を検討した。
方法と対象:当科の病棟に入院患者全員の排尿量と時刻を記録する装置(ウロメセル)が、昨年3月導入された。以降半年間に入院した男性患者80人の内、カテーテル留置例、トイレでの排尿が困難な例を除いた40例での、輸液を受けていない日(手術施行例は、術前)の記録を基に、21時から6時までの排尿回数、排尿量を集計した。
結果:年齢(A)と夜間頻尿(N)には、相関を認め(r=0.61;p<0.001)、一次相関式はN=0.038A-0.69であった。年齢(A)と夜間排尿量(V)にも、相関を認め(r=0.42;p<0.01)、一次相関式はV=5.2A+34であった。肥大症例を除いた26例でも、年齢(A)と夜間頻尿(N)に、相関を認め(r=0.72;p<0.001)、一次相関式はN=0.040A-0.90であった。年齢(A)と夜間排尿量(V)にも、相関を認め(r=0.58;p<0.01)、一次相関式はV=7.1A-55であった。
考察:加齢により夜間尿量が増し、その結果夜間排尿回数が増していることが示された。夜間頻尿は前立腺肥大症の主要な症状とされ、IPSSの項目にも含まれている。肥大症による夜間頻尿は1回排尿量の減少によって起こるものとされているが、治療により1回排尿量が増加し、昼間頻尿が改善しても、夜間頻尿だけが残る例が少なくない。今回の結果は加齢に伴う尿濃縮力等の低下が、高齢者での夜間頻尿の一因であることを窺わせるものである。IPSSの7項目の内、夜間頻尿のスコアが治療に反応しにくいとする報告(中村ほか:第7回老人泌尿器科研究会抄録集,p46,1995)がみられるのも、夜間頻尿が加齢に伴う夜間多尿を反映しているとすれば納得できる。
口演原稿とスライド
フクダ電子に印刷してもらった論文

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