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最大尿流率と比較した一回排尿量/排尿時間の再現性の検討

     東京共済病院 木村明
     東京大学分院 北村唯一
     自治医科大学 中村昌平

 最近前立腺肥大症の治療法は種々提案されており,特にα1ブロッカー等の内服薬投与を行いながらの経過観察は、泌尿器科専門医以外の一般医家でも行われることが多くなっている.自覚症状とともに、尿流検査は前立腺肥大症の治療方針決定や効果判定に重要であるが,一般医家では尿流計を備えていないことが少なくない.そこで、尿流計なしでも一回排尿量を排尿時間で割ることにより求まる平均尿流率が、尿流測定の代わりに使用できるかにつき検討した。
 東京大学分院に入院した男性患者33人につき,終日ウロフローメトリで,計2135回の尿流曲線を記録した。このうち前立腺切除術を施行した16人は,治療前に平均36回,治療後に平均41回の排尿を記録した.終日ウロフローメトリは共同演者の中村が開発した装置で、入院中の患者に個人用のICカードを持たせ,トイレに設置した尿流計にICカードを挿入してから排尿してもらうことにより,すべての排尿時に尿流率検査をICカードに記録する装置である.
 一回排尿量・排尿時間・一回排尿量/排尿時間・最大尿流率の分布と相関関係を2135個の尿流曲線につき求めた.同様の解析を33人の個々人に分けても検討し,再現性の良さも比較した.同一患者の治療前後での改善率も比較し,治療効果判定における一回排尿量/排尿時間と最大尿流率との比較も行った.
 以上の解析から,尿流計のない施設において、一回排尿量/排尿時間で求めた平均尿流率を治療効果判定や経過観察に用いることの是非を検討した.