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日超医68回



(はじめに)我々は,前立腺体積の計測法として,最大横断像を縮小コピーしたものを5mm間隔に配列する,疑似積層法を提案してきた1).今回は,PSADの分母としての有効性をprospectiveに検討した.
(対象と方法)対象は,EIA法によりPSAを測定し,日立エコーパルでバイプレーン経直腸的超音波断層法を受けた後,前立腺生検もしくは前立腺切除術で組織診のついた34例(癌10例,非癌24例)である.最大横断面積(Sm)はエコーパルの計測機能により求め,縦断像での5mm間隔の上下径(Di)は目盛りの記入された透明シートを重ねて読みとった.それらをパソコンに入力し,表計算ソフトで
V = 0.5 x Sm x Σ(Di/Dm)2
を算出した.3軸を掛け合わせる直方体法での体積と比較した.
(結果)Fig.1に,疑似積層法を分母としたPSAD,直方体法を分母としたPSAD,PSAの癌と非癌での分布を示す.縦軸は10を底とした対数値である.癌症例の最低値をcut off値とすると,specificityはそれぞれ88%,83%,38%となった.Fig.2にcut off値を変化させたときのsensitivityとspecificityの関係,ROC曲線を示した.縦軸がsensitivity,横軸が1ーspecificityである.疑似積層法を分母としたPSADの方が直方体法を分母としたPSADより概して曲線が左寄りにあり,有効と思われた.
(考察)当科では最近PSAの測定法がRIA,化学発光,EIAと頻回に変更された.このため,今回は少数例での検討となり,ROC曲線を描くには充分な症例数ではなかった.疑似積層法を組み込んだ超音波装置はないが,表計算ソフトと目盛りの記入された透明シートがあれば,求められるので,他施設での追試をお願いしたい.
(文献)1)木村明ほか:超音波医学23,Supple 1:323,1996
2)岡村徹ほか:超音波医学18,Supple 1:297,1991
口演原稿