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原稿



           PSA高値で検診施設から紹介された患者での前立腺癌陽性率

          木村明、吉田雅彦、斉藤功 (東京共済病院泌尿器科)
           田村政紀 (PL東京健康管理センター)

目的:PSA高値で検診施設から紹介された患者での前立腺癌陽性率を集計し、PSA値や超音波検査を基に、前立腺針生検が必要なグループと不要なグループに分けることができるかについて検討した。
対象:PL東京健康管理センターでPSA高値を指摘されて当科に紹介され、平成8年7月より平成10年3月までに、前立腺針生検を行った83例を対象とした。このうち、80例は前立腺針生検前に超音波検査を受けており、これを基に前立腺体積を計測した。
結果:針生検の結果,前立腺癌と診断されたのは18例であった。PSAの値(ランリームPSA 東亜医用電子)が10以上の32症例では12例が癌であった。10未満の症例51例中6例が癌であった。
 10未満の症例51例中50例が超音波検査を受けており、前立腺体積の平均値は非癌44例で38cm3、癌6例で25cm3であった。PSADの平均値は非癌で0.22、癌で0.30であった。一方、PSA値の平均値は非癌で7.4,癌で7.0であった。PSADのcut off値を0.15とした場合、sensitivityは100%、specificityは20%であった。
考察:PSA値がgray zoneにある症例において、前立腺体積は非癌で癌より大きく、その結果、PSADは癌で非癌より高値を示した。しかし、PSADのspecificityは低く、前立腺針生検不要群を抽出するのにPSADはあまり有効でなかった。検診施設でPSA高値を指摘された患者が泌尿器科を受診する段階では、精密検査を受ける覚悟でいることが多い。前立腺針生検を受けるかどうかを患者本人に選択してもらう際、前立腺癌の可能性は何%かとの質問を受けることがよくある。その確率を算出するには、PSA値よりもPSADのほうが有効であった。



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