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私の著書 「尿の悩みを解決する本」 <教育書籍> (千円) の下書き原稿

 前立腺抗原というのは,前立腺の細胞の中だけで作られている蛋白のことです.ではなぜ蛋白のことを抗原というのでしょうか.それは,ある臓器にだけある物質を発見するのに,別の動物の抗体を使うからです.アレルギーに詳しくて,抗原という言葉にこだわってしまう人のために,ちょっと説明しておきます.興味のない人は読み飛ばして下さい.
 免疫反応を起こすものを抗原,その抗原を処理するために体の中で作られた物を抗体といいます.いろいろな病気を起こすウイルスは抗原,その病原菌をやっつけるために体の中で作られるのが抗体です.抗体は本来自分の体にないものが,入ってきたとき,それを攻撃するために作られます.そして,抗体は抗原と,ちょうど鍵と鍵穴のようにぴったりと結合します.
 人間の前立腺をすりつぶした物を,兎に注射しますと,人間の蛋白質は兎にとって異物ですから,それに対する抗体を作ります.前立腺はいろいろな蛋白から出来ていますので,前立腺をすりつぶした物を注射された兎も多数の抗体を作ります.この中には,前立腺だけでなく,肝臓や皮膚にもある蛋白に対する抗体もあります.そして,前立腺だけに結びつく抗体を探し当てると,この抗体が結合する相手は前立腺の中だけにしかない蛋白ということになります.この蛋白のことを,前立腺特異抗原(PSA)と呼ぶわけです.
 したがって,PSAの血液検査というのは,患者さんの血液のなかに,この抗体と結びつく物質がどれくらい含まれているかを調べるわけです.検査に使う抗体の種類によって正常値は異なりますが,血液1ml中にPSAが10のマイナス11乗グラム以上含まれていると前立腺ガンが疑われることになります.

 ガンが骨に転移していても痛みがない場合は、患者さん自身は病気が発見される前と同じ生活を続けたがりますが,骨転移の程度によっては骨折の可能性もあり,医者からスポーツについて制限を言い渡された人はそれを守るようにしましょう。
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