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私の著書 「尿の悩みを解決する本」 <教育書籍> (千円) の下書き原稿

腎ガン 多くは無症状・進行すれば血尿

 腎ガンは五十歳代、六十歳代に多いガンですが、手術でとりきれて治る可能性のある時期には,血尿等の症状は出ません.血尿が出たり、側腹部にかたまりを触れたり、痛みを感ずるようになるのは,かなり進行したガンで手遅れのことが多いようです。
診断に必要な検査は、超音波診断、コンピューター断層撮影(CT)などですが、これらはほとんど外来検査で行えます。さらに詳しくは動脈造影を行いますが,これは,一晩安静にする必要があるため,入院が必要です。

治療法

腎臓は2つあるので,ガンのできた腎臓は回りを取り囲む脂肪も一緒にまるごと摘出します.よく腫瘍だけとれないのかと質問されますが,腎臓が1つしかない人,両方の腎臓にガンができている人を除いて,腫瘍だけとる手術を行うことは稀です.理由は,取り出した腎臓を良く調べてみると手術前にX線検査で予想していたのよりもガンの範囲が広いことがあるのと,手術後定期的に再発していないかX線検査で調べるとき,腎臓の中の薄い影が再発なのか,ただの瘢痕なのか判定しにくいからです.
 発見が遅れて進行ガンとなっているものには、腎ガンに行く血管を遮断してガンを兵糧攻めにする、血管塞栓術が行われています。動脈造影と同じ方法で,足の付け根から大動脈に細い管を入れ、管の先端を腎臓の動脈まで導き,管を通してアルコールを注入し、腎ガンの血管を塞ぎます.アルコールで動脈の中の血液が瞬時に変性,凝固して血管が塞がれるのです.スポンジのようなものを小さく切ったものや,金属製の細いコイルを流し込んで塞ぐこともあります.これはすでにガンが腎臓以外のところに転移していて手術が無意味な場合に姑息的に行うものですが,延命効果があります.また,手術前のの補助療法としても行われることがあり、手術後の経過もよいという成績も出ています。
 腎ガンに有効な抗ガン剤は今のところありません.しかし,インターフェロンは腎ガンに有効で,肺転移があっても,腎臓を手術でとってからインターフェロンの注射を続けていると,三割くらいの人で転移が小さくなり,さらには一割の人で転移が消えてしまいます.治療中転移が大きくならない例も含めると,半数以上の人に効果があります.

生活上の注意

手術を受けて腎臓が一つしかない人も,普通の生活ができます.しかし,十年,二十年たつと一つで頑張ってきた腎臓が疲れてくることがあります.高血圧や尿に蛋白が混ざるときは,そのサインです.腎臓の機能が衰え始めたら,塩分制限などの食事療法が必要になります.
 腎ガンは手術後十年以上たってから再発することがあります.したがって,手術で完全に取り切れているひとでも,医師の指示通り年何回かの通院は続けて下さい.
 腎血管を遮断する血管塞栓術を受けただけで,手術をしていない場合は,体の修復力により,遮断した血管が約半年で再開通することがあるので,半年ごと同じ治療を繰り返さなければならないことがあります.

予防

 初期には,血尿はでません.これは肉眼で判る血尿だけでなく,顕微鏡的血尿についてもいえます.したがって,尿検査では早期の腎ガンは見つけられません.
最近は,超音波検査で偶然見つかる早期の腎ガンが増えています.人間ドックでの超音波検査が普及したのと,一般の医院(クリニック)にも超音波診断装置が普及して,腹痛や肝機能異常などの人にスクリーニング検査として行われる超音波検査で,症状とは無関係の腎ガンが見つかることが多くなっているからです.
 超音波検査はまったく副作用はありませんから,人間ドックや近くの医院で受ける機会があれば積極的に受けた方が良いでしょう.
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