腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波医学会専門医。
前立腺肥大症の新薬。
ランダム化比較試験で自覚症状を改善するとの有意差は出ているのですが、 尿の勢いを改善したとのデータが不足しています。
そんな中、ドイツ・フランス・イタリアでの500人でのランダム化比較試験では、尿の勢いも改善する、とのデータが出ました。
12週間の投与データです。 12週後、もしくはドロップアウト直前のデータを投与前と比較。 尿の勢いでも有意差が出ました。
ただし、1週もしくは4週でドロップアウトした人のデータは解析には使用していません。
何それ。それで有意差が出たと言われても。
統計をいじったことのある医者としては、
ドロップアウト症例不採用なら12週まで通院した人だけのデータを使ったほうがすっきりするでしょ。
8週でドロップアウトした人のデータも採用するのは何故?
と突っ込みたくなります。
この飛び離れた数値さえなければ有意差が出るのに、
なんて感じたことは何度もあります。
だから、4週のデータは削りたい、8週のデータは含めたい、という著者のたくらみが見えてしまうんです。
さらに、その著者らは、今回の有意差は、偶然かもしれないと、考察で述べています。
しかも、尿の勢いのデータは論文では表に小さく書いてあるだけです。
それなのに、すごく改善したかのようなグラフを作り、引用元はこの論文、というのはいかがなものか。
クローズドの会なら許されるのかな。
2014年12月18日