腎尿管結石・前立腺癌・肥大症の診断が得意な超音波専門医。
先日の勉強会での話題提供は
ユリーフ®錠2mg,4mg(一般名:シロドシン)の特定使用成績調査(SPLASH study)
─既存のα1 遮断薬で効果不十分なBPH 患者を対象とした調査─
タムスロシン、ナフトピジルで十分な効果を得られなかった前立腺肥大症の患者にユリーフを投与した成績。
使用成績調査という方法での集計。
Pictユリーフ投与前と投与後3カ月のIPSS、残尿量を評価。
いずれもユリーフ投与で有意に改善しました。
3000例以上の集計結果ですから、国内の臨床研究としては桁違いの症例数です。
ただし、ユリーフに変更したものの、患者希望ですぐにタムスロシンやナフトピジル戻した人が何人いたのかは書かれていません。
ここから例え話。
木村ピアノ教室の宣伝文句が
木村ピアノ教室に3カ月通えば、みんなエリーゼのためにが弾けるようになります。
だとします。
3カ月通った人が、みんなエリーゼのためにが弾けるようになったのが事実だとしても、
木村ピアノ教室に入学すれば全員エリーゼのためにが弾けるようになります、
というふうに理解してはいけません。
木村ピアノ教室に入学したのは20人で、でも10人は練習についてこれなくて、3カ月しないうちに脱落。
3カ月通い続けた10人だけが弾けるようになったのかもしれませんから。
卒業生で見るのではなく、入学生で見るのが大切です。
でも、プロスペクティブスタディー(前向き研究)でないと、こういう集計は難しいと思います。
2017年7月25日